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◆事例報告

 

●テーマ:「最寄り駅まで15分の交通体系整備」

●報告者:金近忠彦横浜市企画局企画調整部長

 

本日は、横浜市での取り組みを紹介する機会を設けていただき大変ありがとうございます。
横浜市の総合計画である「ゆめはま2010のプラン」の中で提唱しているバス交通の改善施策について本市の取り組みを説明させていただきます。
まず、横浜市の交通現状についてみますと、このスライドは、1960年・1975年および1985年の3時点における横浜の鉄道網と市街化の状況を示したものです。市域の面積は433□、人口331万人ですが、この人口増加の推移をみると本市の人口は戦後の高度成長期において東京への人口や産業の集中に伴い、東京のベットタウン化、とくに郊外地域の開発が進み、1970年代には1年間に毎年10万人の増加という様な急激な人口増加がみられました。市民の通勤・通学等の交通を支えるため、東京へ直行する東急の田園都市線、JR根岸線、市営地下鉄等が整備されましたが、この放射型の鉄道網と鉄道と鉄道の間に楔型の交通不便地域が急速に拡大してきています。現在では、東京のベットタウンとして急速に成長を遂げた一方で300万都市を支えるための都心部の商業集積、業務集積といったものが充分に成長していないこともあります。都市構造は、東京依存型というように我々は呼んでいますが、現在、市民の4人に1人が東京都内に通勤・通学している状況にあります。このための平均的な通勤時間というのが1時間14分となります。時間を短縮することが、これからの市民生活の豊さを追求していく上で不可欠な施策という状況になっています。都心や副都心の都市機能を強化し、就業の場を確保していくことと併せて、交通ネットワークを整備することが本市の重要な施策となってきています。これは交通現状を示したもので、上の表が東京都市圏のパーソントリップ調査で昭和43年・53年・63年の3時点の結果を示したものです。各都県市に発着する全てのトリップの代表交通手段の構成の変遷を示しています。交通手段の推移は、他の地域と同様に自動車の割合が増加し、この20年間で17〜25%と約1.5倍に増加しています。一方、バスの場合は利用の割合が減少しており、20年間で10〜5%と約半減しています。鉄道の方が東京都区部程ではありませんが、比較的整備水準が高く、他の首都圏の都市と比べ高い割合を示しています。バスの利用は先程申したとおり減少傾向を示していますが、昭和63年で全体の5%を占めており、他の都県市よりも高い比率となっています。下の図は、通勤目的のトリップに限って、代表交通手段をみたものです。鉄道利用が全体の通勤トリップの約半分の51%を占めており、バスは全目的と同様に5%となっています。しかし、鉄道の51%の端末が何になっているかというと、約4分の1の26%の人が鉄道駅からバスを利用しており、バスの利用というのは、通勤目的のトリップの中で全体の3分の1の約31%を占めています。トリップ数で1日62万トリップがバスを利用しており、大きなウエイトを占めています。次に、市内を走るバス路線のエリアでですが、市内には市営バスの他に神奈川中央交通、東急バス、小田急バス、京浜急行等民間7社の合計8事業者のバスが走っています。エリアは都心を中心にした中央部分が市営バスとなり、郊外部分がブロック別に7社がそれぞれの地域を走っています。バス利用者数は年間3億5千万人であり、1日あたり100万人の市民がバスを利用している計算となり、先程の話を勘案しますと、通勤目的で60万人/日、全目的で100万人/日が利用していることになります。そのため、バスは市民の足として日常生活に欠くことのできない交通手段といえます。

 

 

 

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